偉人大好き二代目市川左團次(都新聞芸能逸話集)

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偉人大好き二代目市川左團次

乃木将軍、西郷隆盛、勝麟太郎、徳川慶喜、ムッソリーニ、大隈重信、岩倉具視、頼山陽、岩崎弥太郎、森有礼、東郷平八郎等々、英雄偉人を舞台に再現させた左團次を、近々に某公共団体が表彰することになり、目下その方法を研究中とある、大谷さんクスグツたい顔をして、左團次君に英雄偉人をやらせた私は、どういふことになります

1934年2月23日号

 二代目市川左團次は不器用、一本調子、義太夫と舞踊が苦手という歌舞伎役者の素質に恵まれなかったが、それを有り余る才能と情熱、そして熱心で見事に克服し、名優となった。

「古典は他の人がやってくれるから自分は新しい歌舞伎の革新をしよう」と志し、他の役者とは一風変わった路線を取った。そのいい例が独自の新作路線である。

 松居松葉、岡本綺堂、真山青果、池田大伍などを次々と起用し、今日にも伝わる名作を練り上げた。作家たちに不遜になることなく、卑屈になることなく、あくまでも対等に議論を交わし、それでいてリスペクトの態度を取り続けたのは左團次の特筆すべき点であろう。昨今の俳優と違う点はそこである。

 左團次は後進の育成にも力を注ぎ、自分を軸にしながらもワンマンショーにならないような配役や演目に気を配った。左團次一家から猿之助、寿海、荒次郎などが生まれたのは戦後歌舞伎界にとってどれだけの財産になったか。こうしたワンマンショーを否定して見せたのも左團次の偉さであった。

 そんな左團次は歴史的人物を演じるのが好きで、歌舞伎界でも類を見ないほどの近代偉人を演じた。1940年に倒れるまでの間、幕末の志士から明治の元勲までとことん演じ切った。

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