吉右衛門の腸内はアゲハ蝶?(都新聞芸能逸話集)

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吉右衛門の腸内はアゲハ蝶?

腸疾患で吉右衛門が入院中、毎日のやうにその病院に見舞つた菊五郎、恰度診察中の院長にぶつかつたので、ネー先生、播磨屋の腸はいつたいどんな腸なんですか…?と聞くと院長が洒落たもので、いゝや大したことはありません揚羽の蝶ですよ

1941年3月10日号

 中村歌六・中村吉右衛門家(播磨屋)の定紋は「揚羽蝶」である。中村一門に「中村時蝶」「中村蝶一郎」「中村蝶十郎」といった蝶の字が入るのはこの定紋からヒントを得てである。市川家が三升の紋から「升蔵」「升寿」といった名前を考案したり、尾上菊五郎家が扇の紋から「扇緑」「扇五郎」などとつける発想と同じである。

 吉右衛門は中年以降ずっと不調が続いており(メンタルが弱く気を病むとすぐに体に出る事もあって)、「播磨屋は病院通いが趣味」とまでいわれるほどであった。

 その吉右衛門が腸を患った。その医者が吉右衛門家の定紋を思い出して「アゲハの腸」と洒落た次第である。小噺としてはなかなか優れている事よ。

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