これぞ洒落、落首ご喝采(都新聞芸能逸話集)

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これぞ洒落、落首ご喝采

東劇の楽屋集合室に、誰の悪戯か、元禄快挙の落首を半紙に回転貼つてある「今まではあさいたくみと思ひしに、ふかいたくみに切られ上野」「色青くなる黄なる涙を炭部屋で、赤にそみたる白無垢の袖」といふのだ、その余白へ鉛筆で「落書すべからず」だの「うまい/\」などいろんなことが書いてあるが、中に傑作は、
「落首ご喝采」

1935年1月19日

 1935年1月の東京劇場は、市川左團次・猿之助・寿美蔵の左團次一座に、関西の片岡我童、長老・澤村源之助を入れた豪華版の一座であった。

 左團次の十八番『鳥辺山心中』、片岡我童の十八番『廓文章』、猿之助の所作事『武悪』の他に、真山青果の新作として『元禄忠臣蔵・第二の使者』が初演された。

 話のつじつまを合わせるために、「江戸城刃傷」もつけ、浅野内匠頭が吉良上野介に攻撃を加えた咎で即日切腹。この速報を聞きつけた大石内蔵助たちの動向を描いたのが「第二の使者」である。

 この落首の作者は不明であるが、それにしてもうまい。滅茶苦茶にうまい。いうだけ野暮であるが、「拍手ご喝采」の洒落であるのは言うまでもない。

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