アルチュール・ランボーの会は乱暴する会? 小林秀雄

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アルチュール・ランボーの会は乱暴する会? 小林秀雄

 昭和評論界の大御所、小林秀雄が若い頃の話である。
 自身が崇拝しているランボーを読み解く講演、『アルチュール・ランボオの会』を催したが、酒癖の悪い小林秀雄、講釈をしながら少しでも関係者の態度が悪いと大暴れをして怒鳴り散らす。

 すったもんだの会を目の当たりにした永井龍男は呆れて、

「これじゃ、アル中が乱暴する会」

中島健蔵×井伏鱒二『飲んで学んで議論して』

 昭和の論壇を代表する大御所、小林秀雄。最近は少なくなったが、平成初頭まで試験やテストのお馴染で、よくも悪くもよく知られた作家であった。

 西洋的な美学や日本の古典を基盤に、兎に角レトリックと碩学で攻めていくスタイルは多くの評論家に影響を与えた。

 一説には小林秀雄のせいで、評論が難しく、わかりづらいものになったというほどである。その是非は兎も角、評論に大きな革命を及ぼしたのは言うまでもない。

 そんな小林秀雄であるが、出身はフランス文学のランボーから出ていた。帝国大学在学中より片っ端からランボーの本を読み漁り、翻訳を志した。そして、ランボーの破滅的な生き方や作風に非常に感動を受けたという。

 実質の処女作は、「人生斫断家アルチュル・ランボオ」という題名であり、卒論は「アルチュールランボー」。そして翻訳家として名を成すキッカケとなったのもランボーの詩集「地獄の季節」であった。

 晩年の作品や風貌だけ見ると、如何にも厳粛で規律的に思える小林秀雄であるが、若い頃はランボーや文豪にあこがれ、酒を飲んでは議論を飛ばすなかなか骨のある人物であった。

 その被害者が、井伏鱒二であり、永井龍男であったという。永井は古くからの友人だけあって、容赦なく激が飛ばされ、それをボヤキながらもダジャレや地口で応酬する――というのが一時期の文壇の名物であったという。

 これもまたうまい永井の洒落である。小林秀雄の性格や荒々しさを端的にまとめているというか。

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