落語・新婚旅行

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新婚旅行

 進歩的なおてんば娘、はね子は、飛行家の雲井高男という男と恋仲になる。
 母親や家族は「そんな危険な男と」と恋仲を引き裂こうとするが、はね子は家族に反発して家出。雲井の家に転がり込む。
 そうこうしているうちに二人は将来を共にする事になり、結婚式をあげる。
 二人は「新婚旅行もやりたい」と、高男は燕尾服にシルクハット、はね子は黒模様の晴れ着で飛行機に飛び乗る。
 目指すは海の向こうのサンフランシスコ。二人は飛行機に乗りながらも愛を語らい、夢を話し合う。
 太平洋のど真ん中を過ぎた頃、突如に空模様が急変し、にわかに吹き抜ける凄まじい大風。
 大風を前に飛行機はたまらず支障をきたし、遂には羽もエンジンも駄目になり、真っ逆さまに墜落をはじめる。
 そして、飛行機は真っ逆さまに海へ落ち二人は海の藻屑ーー
「どうしたんだい、はね子、はね子やい」
 聞こえてくるのは仏様の声ではなく、懐かしい母の声。目を覚ましてあたりを見渡すと、飛行機も海もなく、いつも過ごしていた寝床と心配そうな母親の顔があった。
「お前どうしたんだい、そんなに汗をかいて」
 気づくと寝間着は汗びっしょり。はね子は今の結婚と墜落が夢であることを悟る。
「実はコレコレこうで……」
 と、一部始終を話し、
「風のために苦しんでいたのです」
 というと、母親はにっこり笑って、

「なに、そのくらい汗をかけば、カゼも治るよ。」

『読売新聞』(1927年3月12日号)

 今の正蔵三平兄弟の祖父、爆笑王林家三平の父親として知られる七代目林家正蔵が、柳家小三治時代にやったという演目。

 古典の名作『羽団扇』的な感じのストーリーであるが徹底的に当時の最先端や流行を入れて、漫談風に仕立てている。

 しかし、そういった時代性が逆に古臭く感じるのは皮肉だろうか。

 七代目林家正蔵は結構変な新作をやっていたりするので、こちらとしては有り難かったりする。

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