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落語・花言葉
喫茶店のマドンナに恋する男、長年のアプローチの末、いとし彼女から百合の花を貰った。
素晴らしい香りと花を持つ百合の花を見た男は「彼女は僕に恋しているのだ」とうぬぼれる。
そして、「相思相愛だったのか」などとある事ないこと妄想して、既に男の中ではガールフレンド扱いになってしまった。
自信をつけた男、街で出会った友人に「彼女が出来た。彼女を紹介してあげよう」などと自信満々に言う。
友人は「この男にガールフレンドが」と驚くが、よくよく聞くと花を貰っただけ。
友人は呆れて「そいつは花言葉にかけたのだろう」と、うぬぼれを諫める。
花言葉を知らぬ男に、友人は「花言葉というのは花に込められた占いのようなものだ」と説明するも、間抜けな男にはなかなか伝わらず、「くちなしの花ならものが言えんのか」などという始末。
何とか花言葉の意味を分からせた友人は男に「ところで一体何の花を貰ったのだ」と尋ねる。
男は、自信満々に大きな百合の花を見せて、「これが貰った花だ」という。
それをまじまじと見た友人、「君は彼女をあきらめた方がいい」と呟く。
「どうして」「君は彼女に振られたんだよ。だってその花は鉄砲百合だもの」
『NHKラジオ新聞』(1954年3月28日号)
新作落語の良き書き手であった鈴木みちをが執筆し、電話落語で売れに売れた二代目三遊亭円歌に提供したもの。
鈴木みちをは、古今亭今輔や三遊亭円歌と仲が良く、正岡容や玉川一郎といった演芸作家たちとも親しい大御所であった。戦後、「落語漫才作家長屋」の幹部に収まり、三遊亭歌奴や桂米丸などといった新作のホープを育て上げた。
今輔・円歌の専属作家的な存在で『社長の電話』『表札』『想い出』などを書き残したのは大きな功績といえよう。今も聞く事の出来る音源や映像の新作の中には鈴木みちを作のものが多い。
この『花言葉』は、凄まじい傑作とは思えないが、これを徹底的に洗い直して、小咄風にすれば逃げ噺として使えるかもしれない。
ちょっと西洋風のエスプリの利いたこじゃれた話ではないだろうか。
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