落語・上海

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上海

 日本が上海事変で揉めていた頃(1937年)。連日新聞でもラジオでも上海、上海と報道されていて、一種の流行語のようになっていた。
 さて、お馴染みの長屋の連中。「上海」のニュースや事変を知るものの、「上海」を「ジョーカイ」、「青島」を「アオシマ」などと読んだりする始末。
 あまりにも読み方がいい加減なのに呆れたのが頭のいい横丁の先生。長屋一同を集めて、
「青島上海をアオシマジョーカイ、と読むものがあるか。青島上海は秋に行けば良い所だそうだ。お前秋の夜という端唄を知ってるかい」
「知ってます」
「秋の夜の前弾は、チントンシャン、ハイ秋の夜はと歌い出すだろう」
「先生何いってんです、チントンシャン秋の夜ですよ、貴方のはチントンシャンハイでハイが多いですよ」
「ウーン、そのハイは掛け声である」

『読売新聞』(1937年9月25日号)

 桂小文治がやった。上海事変直後に放映された『銃後の夕』で流されただけあってか、内容的には皇軍賛美的な形であったようである。

 話そのものとしては小噺っぽい所がある。時局柄の強いことを言っておきながら、オチがまるで上海事変や日本軍と関係ないとぼけ方に徹しているのが小文治らしいというか。

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