落語・朝顔

[random_button label=”他の「ハナシ」を探す” size=”l” color=”indigo”]

朝顔

 ある寝坊助の男。仲のいいおかみさんと、夏の縁日をぶらりぶらり歩いていた。
「はよ歩きんがいな、家でならどんなこといったかて我慢するけんど、往来の真ん中で変な声出すとこまる」
 とボヤキながらも二人仲良く歩いていると、「朝顔」が売っていた。
 欲しがるおかみさんを前にまたボヤキながら、「しょむないな、が、まあええ、負けとけ」などと言って、朝顔を買ってあげる。
 翌朝、布団から出てきた旦那、昨日の朝顔を見に行くが、すっかりしぼんでしまっている。「どないしたんや、この朝顔。咲かへんのかいな」とボヤくと、おかみさんは呆れて、
「阿呆らし、あたりまえやおまへんか、昼まで寝てはったらしぼむのがホンマや」
 と旦那の寝坊助をからかう。旦那は「そんなら明日は早う起きて」と、また次の朝を待つことになった。
 果たして次の朝、いつもよりも早く起きたが、朝顔はしぼんでいる。
 怒る旦那におかみさんは「夜が明ける前から見れば」と諭し、旦那も早く床に入って、朝一番に朝顔を覗こうとする。
 また次の朝、おかみさんは暗いうちから旦那を叩き起こして、朝顔の前で待機させる。そして朝が来て、朝顔は朝日と共に花を開く――
「やあ、咲いた咲いた。こりゃホンマにきれいや」
 と、旦那は大喜びで朝顔を見ていると、どういうわけか朝顔は花を閉じ、べしょべしょとしぼみはじめた。
「あ、どないしたんや!」
 驚く旦那を前に、朝顔が一言。

「あんたがお目覚めになさった故、お昼かと思いました。」

『読売新聞ラジオ欄』(1928年6月24日号)

 桂小文治がやった落語。原話は小咄の『朝顔おやじ』というネタであるそうだが、小文治は夜店やなんやらと現代調の「夜店風景」を含めた感じでやっていたらしい。

 1928年6月24日、ラジオでこのネタを公演している。

 根が小咄だけあってか、そこまで悪いネタではない。

[random_button label=”他の「ハナシ」を探す” size=”l” color=”lime”]

コメント

タイトルとURLをコピーしました