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飛行機のあそび
ある二人連れ、羽田の飛行場に遊びに行き、初めて飛行機というものに乗る。箱根上空まで来ると、エアーガールが出て来て、「ここで機体は迂回して、羽田に戻りますから、その間、飛行機芸妓とお遊び下りませ」とアナウンス。
男たちは飛行機芸妓とやらを呼んで、どんちゃん騒ぎになる。酒が回ると芸妓たちは三味線をもって、音曲を歌い始める。
都々逸、大津絵、小唄端唄、猫じゃ猫じゃ、と気持ちよく唄って、二人は芸妓たちといい感じのムードになる。
その瞬間、飛行機は羽田に降り立ち、芸妓たちはさっきまでの愛嬌はどこにやら、さっさと帰り支度をはじめる。
二人が「一体何ですかこれは」とあきれて尋ねると一同、「今のはみんな空ごとサ」
『読売新聞』(1935年6月4日)
戦前、音曲噺で人気のあった三代目柳家つばめが、1935年2月、羽田空港に出入りする飛行機や落下傘訓練を目の当たりにしてこさえたもの。音曲師のネタだけに、筋らしい筋はあまりない。
1935年6月4日、新作お披露目と称して、午後零時五分よりJOAKから放送した。これは当人のお得意ネタだったらしく、寄席や何やらでもその後ちょくちょくかけたようである。
何度も言うが、筋らしい筋はない。飛行機に乗った二人連れが、飛行機芸妓という芸妓を呼ぶナンセンスさ以外は取り立てるものはない。これはつばめも自覚していたのか、芸の半数以上は音曲で占めて、自慢の喉を聞かせている。
オチは空を飛ぶことと「空言」(ウソ・ベンジャラ)をかけているわけ。
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