落語・お布施

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お布施

 ある家の年期法要に尋ねた僧侶。
 安請け合いに出たが、先方はお布施を支払いし忘れている。
 ただ働きはゴメンと憤然する僧侶であるが、仏法に仕える身として露骨に催促をするわけにもいかない。
 法要に入る前に「説法をしてやろう」と喪主たちの前に座って、
「人は心づかぬ間に罪を犯す、先方の心を察せねばならない。仏様はお見通しだ。なにか手落ちがないか、日々反省せねばならない」
 と、それとなく催促をしたが、喪主たちは感銘を受けるばかりで「お布施」の事は全く気になっていない始末。
 僧侶は、その鈍感さに腹を立てそうになるが、ぐっと飲み込んで「袈裟を忘れたので帰る」と、取り繕って家を出ようとするが、喪主たちはやはり思い出さない。
 元より袈裟など忘れてない僧侶は、村を一回りして帰るが、それでも相手は思い出さない。
 僧侶はじれったく思いながらも、名取川の阿古耶姫伝説を話し始め、お布施をそれとなく催促するが、それでも思い出さない。
 もう一回りしてこようとした矢先、夕立がやって来て外に出られなくなる。
 仕方なしに僧侶は、高尾太夫の話を出して、お布施を催促する。
 やっと気づいた喪主たちは、「ああ、お布施を忘れてました」と、包んで出してくれた。
 目当てにありついた僧侶は安堵して、そのお布施をそっと包みの中に入れようとすると、袈裟がひょっこり顔を出した。
「あら、袈裟は包みの中にあるじゃございませんか」
 と喪主たちの驚きに、僧侶は落ち着き払って、

「お布施をくださったので袈裟までこの通り出ました」

『読売新聞』(1934年8月25日号)

 田村西男の新作落語。四代目柳家小さんが演じたという。新作落語ばやりに乗じて、作った模様か。

 内容は、民話風のもので、がめつい僧侶ととぼけた喪主たちの掛合が主になっている。ただ、詳しい速記がそこまで残っていないので、どんな話をしたのかイマイチ輪郭がつかめない。

 それに僧侶のたとえ話も今となってはよく分からないものが多く、どうしてこれがウケたのか、という感じである。

 もっとも、僧侶がお布施を得ようと四苦八苦するというシチュエーションそのものは悪くない。これを仕立て直せばそこそこ面白いものが出来るんじゃなかろうか。

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