ペンネーム千夜一夜
※しばらく休止します。申し訳ない。
?? なんだろうこれ?
ある日、シャーリィは不思議な本を拾いました。赤い皮で作られた立派な本です。しかし、そこには何も書かれていません。
不思議に思ったシャーリィは、バベルの図書館にいるチュン太先生を訪ねました。
先生、いますか~?
おや、シャーリィ君。どうしたんだね?
ちょっと見てもらいたいものがあって……
シャーリィは先程の本をチュン太先生に手渡しました。
……? なんだね、これは。何も書いてないじゃないか。
ええ? そんな立派な本なのに……
メモ帳とかそういうたぐいなのかな? ちょっとペンで書いてみてもいいかい?
は~い
……駄目だ。何も書けない。本当に不思議な本だ。
メモ帳でもないんですか……? ”文章がないと読めないのに……”
すると、本が光り輝いたかと思うと、文章が浮かび上がってきました。
なんだ……? 本が輝いて……? おや、文章があるぞ?
「日本の近代作家の筆名由来これ如何に? 第1・坪内逍遥」
……これはなんですかねえ?
………上の文章と照らし合わせるとこれはペンネームの由来を解いて教えてくれ、というのかな。
でも、どうやって……? その本はインクを使っても弾いてしまって書けないじゃないですか……
視点を変えてみるのさ、シャーリィ君。どうも、さっきの現象から考えるとね、この本は、言の葉の如くに意思を持っているのかもしれない。
ということは――?
簡単さ。この本はシャーリィ君、君に繋がっているのかもしれない。だから、君が話を理解して、まとめてくれれば、この本はどんどん書き足されるのかもしれないよ。
そんなバカな……
なに、物は試しさ。行き詰ったらまた考え直せばいい。どうせここに来たってことは、君も僕になにか話を聞きに来る腹だったんだろう。雑談よりもためになる話のほうが、後々の財産になるよ。
それもそうか……
かくして二人は、不思議な本を読み進めるために、本が示す「筆名由来」の談義をはじめることとなりました――
1人目・坪内逍遥
2人目・二葉亭四迷
3人目・尾崎紅葉
4人目・幸田露伴
5人目・山田美妙
6人目・須藤南翠
7人目・樋口一葉
8人目・斎藤緑雨
9人目・嵯峨の屋おむろ
10人目・饗庭篁村
11人目・石橋思案
12人目・大町桂月
13人目・巌谷小波
14人目・岡倉天心
15人目・田澤稲舟
16人目・内田魯庵