ペンネーム千夜一夜

ペンネーム千夜一夜

※しばらく休止します。申し訳ない。

シャーリィ
シャーリィ

?? なんだろうこれ?

 ある日、シャーリィは不思議な本を拾いました。赤い皮で作られた立派な本です。しかし、そこには何も書かれていません。

 不思議に思ったシャーリィは、バベルの図書館にいるチュン太先生を訪ねました。

シャーリィ
シャーリィ

先生、いますか~?

チュン太先生
チュン太先生

おや、シャーリィ君。どうしたんだね?

シャーリィ
シャーリィ

ちょっと見てもらいたいものがあって……

 シャーリィは先程の本をチュン太先生に手渡しました。

チュン太先生
チュン太先生

……? なんだね、これは。何も書いてないじゃないか。

シャーリィ
シャーリィ

ええ? そんな立派な本なのに……

チュン太先生
チュン太先生

メモとかそういうたぐいなのかな? ちょっとペンで書いてみてもいいかい?

シャーリィ
シャーリィ

は~い

チュン太先生
チュン太先生

……駄目だ。何も書けない。本当に不思議な本だ。

シャーリィ
シャーリィ

メモ帳でもないんですか……? ”文章がないと読めないのに……”

 すると、本が光り輝いたかと思うと、文章が浮かび上がってきました。

チュン太先生
チュン太先生

なんだ……? 本が輝いて……? おや、文章があるぞ?

「日本の近代作家の筆名由来これ如何に? 第1坪内逍遥

シャーリィ
シャーリィ

……これはなんですかねえ?

チュン太先生
チュン太先生

………上の文章と照らし合わせるとこれはペンネームの由来を解いて教えてくれ、というのかな。

シャーリィ
シャーリィ

でも、どうやって……? その本はインクを使っても弾いてしまって書けないじゃないですか……

チュン太先生
チュン太先生

視点を変えてみるのさ、シャーリィ君どうも、さっきの現象から考えるとね、この本は、言の葉の如くに意思を持っているのかもしれない。

シャーリィ
シャーリィ

ということは――

チュン太先生
チュン太先生

簡単さ。この本はシャーリィ君、君に繋がっているのかもしれない。だから、君が話を理解して、まとめてくれれば、この本はどんどん書き足されるのかもしれないよ。

シャーリィ
シャーリィ

そんなバカな……

チュン太先生
チュン太先生

なに、物は試しさ。行き詰ったらまた考え直せばいい。どうせここに来たってことは、君も僕になにか話を聞きに来る腹だったんだろう。雑談よりもためになる話のほうが、後々の財産になるよ。

シャーリィ
シャーリィ

それもそうか……

 かくして二人は、不思議な本を読み進めるために、本が示す「筆名由来」の談義をはじめることとなりました――

1人目・坪内逍遥
2人目・二葉亭四迷
3人目・尾崎紅葉
4人目・幸田露伴
5人目・山田美妙
6人目・須藤南翠
7人目・樋口一葉
8人目・斎藤緑雨
9人目・嵯峨の屋おむろ
10人目・饗庭篁村
11人目・石橋思案
12人目・大町桂月
13人目・巌谷小波
14人目・岡倉天心

15人目・田澤稲舟
16人目・内田魯庵

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