山野一郎の声色は百円ショップの代物(都新聞芸能逸話集)

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山野一郎の声色は百円ショップの代物

「笑の王国」の山野一郎、金龍館の舞台で左團次の声色をチョイと入れると、大向ふから高島屋ァ、カレ氏大いに気をよくして楽屋に帰つて早速披露に及ぶと口の悪いのが、高島屋は高島屋でも、そいつァ例のテンセンス・ストーアの口だヨ、に、ギャフン

1934年3月21日号

 山野一郎は、戦前戦後に活躍した活動弁士、俳優、漫談家である。戦前は弁士と俳優として、戦後は寄席の漫談家として活躍した。

 立川談志が敬愛した関係から今もその漫談の様子は聞く事が出来る。

 この山野、歌舞伎や演劇が大好きで、俳優の物真似が結構いけた。活動弁士時代から声色の一つ二つを入れる器用さを見せていたともいう。

 彼の贔屓は、文芸的な新作と男っぷりのいい舞台で人気のあった二代目市川左團次であった。インテリ受けする市川左團次の芸に山野は私淑をしていたという。

 その市川左團次の屋号は「高島屋」。山野はその高島屋を気取って、いい気になっていたという。

 一方。「テンセンス・ストーア」とは戦前存在した「高島屋十銭二十銭ストア」というショップの事。その名前の通り、商品の殆どが十銭で買えるというのが売り物で、今日の百円ショップの走りであった。

 町の人たちは、この店を「十銭→ten・銭」から「テンセンスストア」と呼んで洒落た。

 高島屋は高島屋でも所詮は「百円ショップ」の代物だというからかいであろう。

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